ドコモ未来ミュージアム のばそう絵の力

「ドコモ未来ミュージアム」は、
子どもたちの未来や夢を描く力を応援する、創作絵画コンクール。
このページでは、保護者・教員のみなさま向けに、
「絵を描くことの大切さって?」といった素朴な疑問から
「どう取り組ませればいいの?」といった具体的なアプローチまで、
美術教育の専門の先生方が、モデル授業を通して
わかりやすく解説します。

聖徳大学児童学部教授 奥村先生×デジタルハリウッド大学教授 南雲先生 対談

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  • 絵を描くことで、子どもの何が育ち、どういい影響があるのでしょう?

    絵の具絵画授業講師 聖徳大学児童学部長 奥村高明先生 タブレット絵画授業講師 デジタルハリウッド大学教授 南雲治嘉先生

    奥村先生 絵を描くことは、感性や感覚を育てるのはもちろん、
    実は思考力や判断力、構築力など、論理的に考える能力を育てます。
    実際美術教育を研究する図画工作指定校で勉強した子どもたちは
    思考力や判断力が上がるという研究結果があります。

    南雲先生 そうですね。同時に、絵は言葉と同じで自分の気持ちを表現して相手に伝えるツールです。
    いま日常生活の情報の90%は、視覚から得ていると言われています。
    それを読み取ったり表現する力がつきます。
    もうひとつの言葉を習得するようなものですね。

    奥村先生 また、芸大や美大を出た人達は、最後まで仕事をやりきる人が多いそうです。
    物を作る経験って最後まで投げない姿勢をつくるのでしょう。
    だから、絵を描くことは、物事をつくる姿勢や態度をつくることにつながるのだと思います。

    南雲先生 ぜんぶ、将来社会を生きていく上で不可欠なこと。
    好き嫌いに関係なく、もっともっと教えてあげた方がいいですよね。

  • 未来を創造することの意義とは?

    絵の具絵画授業講師 聖徳大学児童学部長 奥村高明先生 タブレット絵画授業講師 デジタルハリウッド大学教授 南雲治嘉先生

    奥村先生 未来は、今という視点から考えられていますよね。過去も同じです。
    ということは未来も過去もすべて今を基準にして考える、
    いわゆる“現在形”だと思うんです。すると子どもにとって、
    今というのは、せいぜい自転車でいける身のまわりの範囲で起きていること。
    だから未来を考えるときには、今の自分も含めた身のまわりが
    “こうなればいいな”という視点が大事だということになります。

    南雲先生 未来を考えることで、時代の読み方や考え方も生まれてきます。
    それはどういう人になりたいか、どんな世界がいいかを考えることにつながります。
    今は、ほとんどの物がすでにある世界。だからこれからの未来は、物というよりも
    “きれいな空気や平和な世界がいっぱい増えるといいな”というような
    “コト”に向かっていくのでは?

    奥村先生 未来を考えるということは、その前に今を豊かに想像するチカラがないといけない。
    “ドコモ未来ミュージアム”のようなコンクールは、
    そのチカラを身につけるいい機会ですね。

  • どうすれば、未来を想像して描けるようになるのでしょうか?

    絵の具絵画授業講師 聖徳大学児童学部長 奥村高明先生 タブレット絵画授業講師 デジタルハリウッド大学教授 南雲治嘉先生

    奥村先生 授業では、身近な「人」「物」「社会・世界」という
    視点を示して、“こうなればいい”“これがほしい”という
    夢や願いを考えてもらいました。
    その身近な“こうなればいい”を手がかりに、
    ディスカッションしたり図書館に行ったり画材を選んだりと、
    自分らしい方法を工夫していくといいですね。 ワークシート 未来を想像しやすいように
    ワークシートを活用

    南雲先生 デジタル絵画も同じで、まず今が重要。今欲しい物や夢を、まず紙と鉛筆で書いてみる。
    そうすることで自分はこういう夢があるんだと確認できます。
    それを誰かにお手紙を書くつもりで描いて欲しい。
    絵が苦手なコも、お母さんに元気?って書いてみようよっていうと、気づいてくれます。

    南雲先生 それともうひとつ。絵は大勢の人にいろんなことを伝えるコミュニケーションの道具だから
    必ず記録しておきましょう。こうしていつでも見られるようにしておくと、
    メール等で簡単に遠くの人に見てもらうことができ、さらに絵を生かせます。

  • 絵を好きにさせるコツってなんでしょうか?

    絵の具絵画授業講師 聖徳大学児童学部長 奥村高明先生 タブレット絵画授業講師 デジタルハリウッド大学教授 南雲治嘉先生

    奥村先生 算数の時間が増えたでしょ?すると、好きだという子も増えたんです。
    たっぷりやるから楽しいことも増えているんですね。
    理科の「好き」も伸びている。同じように、日常的に絵を描く場として
    図工の授業時間を増やすのが、いちばんかもしれません。

    南雲先生 言葉と同じで生活に不可欠だから教えなくてはいけないのに、
    図工の時間が削られていますね。少なくとも毎週絵の時間がほしいですね。
    それからラクガキの時間もたっぷり保障して絵に触れている時間を作ってあげて、
    それを見守ってあげることが大事です。

    奥村先生 あと、いたずらにほめないこと。ほめると優劣を生んでしまい、
    他の人の否定につながりかねません。なによりもそれに満足して、
    そこでストップしてしまいます。大人の目で上手下手を判断してほめるのではなく、
    まず、ありのままの行為を認めたり、「ここは?」と聞いたりする。それが大切です。
    認めてあげると、子どもはうれしいんです。まずはそこからはじめましょう。

  • 夏休みは絵を描くハイシーズン。大人はなにをすれば?

    絵の具絵画授業講師 聖徳大学児童学部長 奥村高明先生 タブレット絵画授業講師 デジタルハリウッド大学教授 南雲治嘉先生

    奥村先生 夏休みは時間がたっぷり。子どもに寄りそうまなざしで
    子どものやることを認めてあげる時間をつくりましょう。
    画用紙に描くだけが絵ではありません。砂場や窓も、立派なキャンバスです。
    海に行って砂山を一生懸命作っている子どもを、見守ってください。

    南雲先生 何を伝えたかったかが重要。
    お父さんを描いたら、お父さんを大好きだと思った、その心が大切。
    こうして描いた絵が、親と子のコミュニケーションの重要なツールになります。
    描いて写真に残してあげるということも忘れずに。

    奥村先生 学校だけに頼るのではなくて、町のお絵かき教室とかワークショップ、
    企業主催の絵画コンクールなどを活用するのもいい方法です。
    今はこうした場が、とても増えてますよね。

    子どもたちの絵のことになると、話が尽きない奥村先生と南雲先生。
    この熱さが、モデル授業に参加した子どもたちの夢中さにつながっているんだな、と思いました。
    ぜひお二人のお話を参考に、子どもに絵を描かせてみてください。

モデル授業実施!

尾久小学校は、創立127年を迎える伝統ある学校です。
本校は、教育目標を「進んで学ぶ子 やさしい子
たくましい子」とし、知・徳・体の調和のとれた人間性
豊かな児童を育てるための取組みを進めています。

  • 奥村先生による絵の具を使った授業 POINT!身のまわりのこうなったらいいな、が未来

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    • 未来って、なあに?

      「先生が子どものころ、食べ物があっという間に温かくなるといいな、と思っていました。もうあるよね」「電子レンジ!」奥村先生の授業は、子どもたちとの会話で始まりました。「先生が昔思ったように、身のまわりがこうなったらいいな、できたらいいなというのが、みんなの未来なんです。」身のまわりから具体的に考えようといわれて、子どもたちの未来のイメージはリアルになったようです。

    • 身のまわりに、3つの未来。

      4人1組になった子どもたちに、プリントが配られました。真ん中に自分。それを「人」「物」「その他」が囲んでいます。それぞれの枠のなかに“こうなったらいいな”を書いていきます。奥村先生の「まわりのお友達とおしゃべりしながら、書いてください」という言葉が印象的。コミュニケーションしながら、子どもたちは身近な未来を楽しそうに考えはじめました。

    • 教室にたくさんの未来。

      「チョークで書くと本当になる黒板」「ボタンを押すとスニーカーやハイヒールになる靴」etc。子どもたちのプリントの中がどんどん埋まっていきます。子どもたち同士で話すから考えやすくなって、アイデアが次から次に湧いてくるのですね。「おもしろいねえ」「これはなに?」と、教室を回りながら子どもたちに声をかけていく奥村先生。まるで子どもたちの一員になったように自然に接します。

    • 「絵にしたい人は画用紙を取りに来てー!」「はーい!」アイデアができたら、色鉛筆で下書きの絵を描いていきます。「図書室で資料の本をもってきてほしい人は井野先生に頼んでください」と奥村先生。このタイミングで、自分のやりたいことに合わせて資料を調べるのが、とても大事なのだとか。絵を描くことは世界のさまざまなこととつながっていることを知る機会なのですね。さあ、絵にしよう!

    • はみだしても大丈夫!

      もっと描いていたいけれど、そろそろ終了時間。描きたいものが大きくて一枚に収まらない絵がありました。こんなときは、子どもの「あったらいいな」を優先して、はみだしたらつなげてしまおう、と奥村先生はいいます。「みんなの、いろんな未来が見えました。」 先生の締めくくりのこの言葉は、こうした自由な発想を大切に、というメッセージだと思います。

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  • 南雲先生によるタブレットを使った授業 POINT!絵を描くことは、考えを伝えること。

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    • まず文字で書こう!

      「『今あったらいいな』『こんなのほしいな』と思うものを、10コ紙に書いてください。」南雲先生の授業も、絵のテーマ探しからはじまりました。抽象的な「未来」ではなく、身近でわくわくするテーマに、生徒たちの目が輝いています。どんなものが出てくるんだろう。とても楽しみです。どこまでデジタルが進化していても、まず考えたものを紙に描く。これが基本なんですね。

    • おもしろいアイデアがぞくぞく。

      「自動で宿題ができる文房具」「天気が変えられるリモコン」「欲しいものを書いた紙を入れると出てくるエコバッグ」考えはじめて5分もしないうちに、おどろくようなアイデアがぞくぞく生まれてきます。身近なものから無理なく興味を引き出す南雲先生の指導が、子どもたちの創造力に火を点けたようです。

    • タブレットって、楽しい!

      生徒みんなにタブレットが配られて、いよいよデジタル絵画の実習です。「このマークをを押したら、色が選べるよ。」「じゃあマルを描いてみよう。」南雲先生の指導に合わせて、使い始めるとあちこちで歓声が。子どもたちが夢中になっていく様子がわかります。

    • カンタン、描ける、みんな夢中!

      さっき紙に書いたアイデアをいよいよ絵にしていきます。描いているうちに、新機能をどんどん発見する男の子。住んでみたいお城を描く女の子。指先ひとつで描けるから、すぐ慣れたようです。デジタルの利点は、上手くいかなかった部分を消したり、どんどん保存して、新しい絵に何度もチャレンジできること。繰り返すことで、使い方も自分で発見していけます。

    • 描いたら、伝えよう。

      そろそろ授業はおしまい。「おもしろい」「もっと描いてみたい」「色がパッと変わるのがおもしろかった」子どもたちの、いろいろな感想が聞けました。タブレットのもう一つの良さは、手軽に送れることです。「伝えたいことを人にどうやって伝えるか、それに絵を使ってください。たとえば、おじいちゃん、おばあちゃんに送ってよろこんでもらおう。」南雲先生の言葉が印象的でした。何を伝えたいかをはじめに明確にしておくことは、伝える時にも大切になってくるんですね。

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  • 絵の具絵画はこう伸ばそう!3つのアドバイス

    1. 紙を切っても足してもいい。絵の具、水彩、クレヨンと選択肢を広げておくことも大事です。
    2. 水が汚れたり絵の具が欠けたりといったことがないように、作業環境を整えましょう。
    3. 技術のうまさをほめるよりも、何を描いたのかを聞いてあげてやったことを認めてあげると、絵が好きになります。
  • タブレット絵画はこう伸ばそう!3つのアドバイス

    1. 絵はコミュニケーション。伝えたい目的をもって描かせましょう。
    2. まず手で描かせて考えることをまとめてから、タブレットを使わせましょう。
    3. 図鑑など情報ソースとリンクさせて、絵から広がる大きな世界を体験させましょう。

今回のモデル授業を終えて、、、

  • 講師総評:聖徳大学児童学部長 奥村高明先生

    未来を描くには[今]を見つめることが大事です。そのために、今回の授業では、「人」、「物」、「社会や世界」という3つの視点を子どもたちに与えました。そのワークシートをもとにディスカッションすることでアイデアを具体化させました。次に、図書館に絵の資料となる本を借りに行く、画材を自分で選ぶなど、絵を描く際の選択肢を増やし、子どもたちが自分らしい方法で絵を描ける工夫をしています。未来を考えるときに重要なことは、[今]の自分と自分を取り囲む人々や社会について考えることです。この授業が一つのきっかけになっていたらうれしいです。

    奥村先生
  • 講師総評:デジタルハリウッド大学教授 南雲治嘉先生

    まず最初に、未来を描くには[今]が重要なので[今]ほしいものとか[今]あなたの中にある夢などが未来であると説明しました。その夢のイメージを具体化するため、紙に鉛筆で文字や絵で描かせ、自分の夢とは何なのかを確認できるようにしました。次に描いた絵を、タブレットで表現する段階に入ります。その際、気をつけることは、上手下手ではなく、何を描き誰に伝えたいかということを意識させることです。デジタル作品というのはメール等で簡単に遠くの人に送ることが出来ます。そのため、描いた絵はコミュニケーションの手段にもなり、人を幸せにするための道具にもなります。お手紙を書くつもりで気軽に絵を描く。そんなライトさで絵画制作に取り組んでほしいです。

    南雲先生
  • 東京都荒川区立尾久小学校 校長 飯村誠一先生

    図工は文化芸術活動の大事な柱だと思います。造形活動は様々な学習の中でも自分を表現する一つの大きな手段です。そして、絵を描くと子どもたちはイキイキとしてきます。心から没頭できる力は、小学生のうちだからこそ身につくことだと感じています。好きで集中して取り組んだことが、将来花開く場合も多いと思います。その意味でも、絵の描き方を学んだりタブレットを活用する今回のような授業はとても効果的だと感じました。今後も推進していこうと考えています。

    飯村先生
  • 東京都荒川区立尾久小学校 図工専科 井野早穂里先生

    友達とおしゃべりして楽しみながらアイデアを出し合うことで、みんなが意欲を持って描きたいと思うんだなと、奥村先生の授業であらためて実感しました。また 南雲先生の授業では、身近なことを「こうしたい」と話し合えば未来が共有しやすくなるのか、という発見もありました。
    身近なところからスタートしたため、子どもたちも楽しめ、自分が描く未来に何十年後かに行くんだというイメージが湧いたのもよかったと思います。子どもたちのもっと描きたいという声に、手応えを感じています。

    井野先生

講師プロフィール

  • 奥村先生

    奥村 高明 先生

    1958年生まれ。聖徳大学児童学部長、ドコモ未来ミュージアム審査員。子どもの表現や鑑賞の行動分析の専門家。小中学校教諭、美術館学芸員の後、文部科学省教科調査官として小学校学習指導要領図画工作科の作成に携わる。図工・美術教育や美術館との連携等で全国各地で講演を行う。専門は図画工作・美術教育、鑑賞教育など。

  • 南雲先生

    南雲 治嘉 先生

    1944年生まれ。デジタルハリウッド大学教授、NPO 日本カラーイメージ協会理事長、ドコモ未来ミュージアム審査員。グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活躍。ベーシックデザイン、デザイン理論、表現技術、色彩などの分野で新しい理論を打ち立て、研究と実践を行う。現在、デジタル教材の研究に取り組んでいる。

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